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斜線のなかみ

青いしっぽのゆくえ

光をちらちら反射するメタリックな青色のしっぽが、それ単体でくねくねと動いていた。僕がその様子をみるのは初めてで、この結果を望んだのは僕なのに、ひどく不安な気持ちになった。都会にありながらその公園は広大で緑が多く、幼少期に果たせなかったひとつの経験へのチャンスを与えてくれた。僕は大学生で、子供でも大人でもないような曖昧な感覚で暮らしていた。土の上を這うトカゲを見た僕は考えるより先に行動していた。素早く彼のしっぽを掴み、その生々しく冷えた感覚に多少の恐れをなしながら見守った。しばらくすると彼は身をくねらせながら自らのしっぽを切った。草むらに逃げ延びる彼を見て、それから指の間に残った彼の一部だったものを見て、僕は感動と後悔の両方を感じていた。子供だから許される残酷さ、大人だからわかる非道さ、どちらでもない僕。顔を上げると池の水面がきらりと光り、背後から子供たちのはしゃぐ声が聞こえた。僕はトカゲのしっぽからそっと手を離し、指先で土に浅い穴を掘ってそれを埋めた。この後僕は一人きりの狭い部屋へ帰り、安いウィスキーを煽るのだろう。これから沈んでいくであろう太陽が、僕の頬を無責任に照らしていた。

 

即興小説トレーニング2つ目。お題は「トカゲの許し」制限時間15分。こちらは誤字のみ訂正。勘を取り戻してきた。10分で完成、5分で見直し。